シャルケのハイデルディレクター:「シュプレヒコールはまだ自分には相応しくない」
http://www.derwesten.de/sport/fussball/s04/schalke-manager-heidel-die-sprechchoere-habe-ich-noch-nicht-verdient-id12080498.html
2016年8月8日 21:03
ミッタージル。シャルケのクリスティアン・ハイデルディレクターが、金、目標、そして自分自身について語る。新しいクラブにすっかり魅了されている彼は「いくつかの分野においては、これ以上のものはありえないと言わざるを得ない」。
ミッタージルのシュロス(城)ホテルには塔の中に部屋があり、そこからの周辺一帯の眺めは抜群だった。そしてこの数日間で何より重要だったのは、良好な携帯の電波環境だ。シャルケのディレクター、クリスティアン・ハイデル(53歳)はそこにWAZを招き入れ、独占インタビューに応じた。
ハイデルさん、トレーニングキャンプで起こったドラマといえば、新加入選手コケの十字靭帯負傷でした。現在の様子はいかがですか?
クリスティアン・ハイデル:コケとは土曜日に長く話をしたのですが、それでまた少し前を向けるようになったようです。「ああ、これは何かの前触れなのだろうか」と我々はつい思ってしまうものですが、本人にとってこれがどういうことなのかを忘れがちです。移籍をして、知人もいない、馴染みのない国に来て、その2日後には横たわり怪我をしているのです。新たに代わりの選手を獲ることはしません。それはコケに悪い気がします。遅くとも後半戦には戻って来るのですが、我々はそれよりも早い復帰を願っています。
少なくとも部分断裂はしているという十字靭帯ですが、手術はするのでしょうか?
ハイデル:確定はしていません。負傷した膝の画像を何人かの専門家に送っていて、彼らの意見を踏まえて決定することになります。
ハイデルさんはシャルケに来て約3か月になります。トレーニングキャンプではファンによるクリスティアン・ハイデル・シュプレヒコールが起こりました。ご自身は気恥ずかしそうなご様子でしたが……
ハイデル:そうです、こんな短期間でそれはまだ自分に相応しくありませんから。チームが称えられるのはものすごくうれしいものですが、私自身がというのは少しきまりが悪い。でも、この好意というのは、人々がこれから我々がここでやろうとしていることを理解し、共に歩んでくれるというサインだと思います。
ハイデルが抱いたシャルケの印象とは
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シャルケは何年も外から見ていたとおりのものでしたか?
ハイデル:分けて考えねばなりません。感情の激しさとスケールは想像どおりでしたが、例えばミッタージルでさながら地域全体が1週間ファンたちで占められ、ほぼすべてのバルコニーに青と白のフラッグが掲げられる、それがどういう感じなのかはわかっていませんでした。クラブ自体はもっと違うものを想像していました。
というと?
ハイデル:外部の認識では、カオス(混乱)がシャルケらしさの象徴になっている。でもその認識を我々は変えなければいけません。実際の姿とは合致していないからです。私がいい意味で非常に驚いたのが、クラブ組織の成り立ちでした。マーケティングからメディア活動、財務にいたるまでです。いくつかの分野においては、これ以上のものはありえないと言わざるを得ません。マインツ在任時、私はクラブを可能な限り良い組織にするべく全力を注ぎました。でもここシャルケには、マインツにもこれがあったならと思うような、私自身その存在を全く知らなかったものがありました。あと、シャルケで私はもっと懐疑的な目で見られるのではと思っていました。
小さなマインツから来た奴が何をするつもりだ、ということでしょうか?
ハイデル:そうです。私は人付き合いにおいて当たりを引き当てたのかもしれません。ごく短期間で非常に率直かつ正直に打ち解けてもらえて。私は名誉教師や教えたがり人間として来たわけじゃありません。シャルケは非常に家庭的な雰囲気に満ちていると思うし、またそれを私も望んでいました。マインツの人たちと大きく異なるわけでもなくて。
どのようなところが?
ハイデル:住んでいるエッセンの郵便配達の人から多くの人々にいたるまでです。ゲルゼンキルヒェンの中心街でもそうです。行く必要はまったくないよとも言われましたが、私は興味があったので街に行って、それでカウフホーフデパートの中にある床屋にたどり着きまして。
詳しくお聞かせください。
ハイデル:会員総会の前に床屋に行きたかったのですが、マインツではどこの床屋も土曜日は6時まで開いているのに、ここではそうではなかった。唯一開いていたのがカウフホーフ内のところだったので、そこに入りました。人々の少し疑わしそうな視線を感じましたが、どうということもありません。そこにはこれまで2回も行きました。その後カフェに座ってゲルゼンキルヒェンの中心街を眺め、一度すべてを観察しました。ここはKö(※訳者注:ケー。デュッセルドルフにあるケーニヒス通りの通称。高級ブティックが立ち並ぶ)ではない。そのとおりです。でもそれも私には必要ありません。ここの人たちとはうまくやっていけます。
シャルケのチームはあなたの期待に応えましたか?
ハイデル:白状すると、チームは若く、選手たちはみんな大金を稼いでいて、ちょっと自惚れたところがあるかもしれないと思っていました。でもそんなことは全然ありませんでした。とても心地良い、手のかからないチームだと思います。――少なくとも現時点では。ミッタージルでも文句の一つも出ることなくトレーニングを行っていました。マルクス・ヴァインツィールはそれこそ厳しくしごいていましたが。また、我々がやっていることを選手たちが信用しているという印象も受けました。これも大事なことです。唯一悪い意味で驚いたのは、シャルケをホームとするチームのためのインフラ面における労働条件でした。でもそこの変革はすでに始めています。
クレメンス・テンニエスとの協力について
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クレメンス・テンニエスとの協力についてはいかがですか?
ハイデル:彼の世間でのイメージは完全に間違っています。クレメンス・テンニエスがあらゆる決定を下しているのだと思われていますが、こじつけもいいところです。就任以降、私が彼をオフィスで見かけたのはたったの2回です。クレメンス・テンニエスは私から常に報告を受けることを望んでいるわけでもありませんが、もちろん我々がやっていることには関心を持っています。ただの監査役会会長であるだけでなく、自身もシャルケ04のファンですからね。これまで私に何か口出しをしてきたことすらありません。彼には適宜助言を求めているのですが、その時には力になってくれるのです。我々の間に問題が起こるとは思えません。
では、例えばザネの売却についてはいつテンニエスに報告したのですか?
ハイデル:電話で話はたびたびしていましたが、かけるのはだいたい私からでした。あのような規模だと、ディレクターだけで済ませる話ではないと思います。自分がどうするつもりなのか、この交渉でどういう方向に行きたいのか、またある程度のリスクと隣り合わせであることを彼に知らせていました。
ザネの移籍交渉中に破談になる懸念はありましたか?
ハイデル:ええ、正直に言うと。最初はとても大きな隔たりがありました。もしそれでいつかあちら側が4000万より多くは出さないと言ってきたら、それは戦略かもしれないけれど、わかりようがない。私は譲歩の余地を探り出そうとしました。そしてある時、これ以上はもう無理だという気がしたのです。イエスかノーかここで言わなければならない。そこで他のディレクターたちと監査役会に状況を知らせ、全員で意見が一致しました。もしマンチェスター・シティが条件をのむなら、我々も同意すると。この件についてはクラブ内で大きな賛同を得たかった。最後は神経がすり減りました。
ファンにとってはサッカーは今やモノポリーのように見えます。
ハイデル:そこまで大きく変わってはいないと思います、ときどき同じような事例で金額のゼロが2つ多くなるだけで。――まったくひどいものです。それ以外では結局のところ元のままで、マーケットに入ってくるお金はまた分配される。かつて1部と2部リーグのテレビ放送権は1000万ユーロでしたが、今では10億を超えています。恐るべき数字であることは私にも理解できます。人に聞かれることもしょっちゅうですよ、選手にはその価値があるのかと。それで私は言うのです。いや、ないよと。しかし、サッカー選手の価値をどう算定せよというのでしょう。正直に言いましょう、我々は変わってしまったマーケットの参加者であり、自分たちのクラブのために最大の成果を上げる努力をしなければいけないのです。
ドイツで新たなテレビ放送権の契約が発効し、クラブにさらにお金が入るとなると、来年はさらに移籍市場が過熱するのでは?
ハイデル:間違いありません。マーケットはもう一回り大きくなると思います。でも来年にお金が入ってくるとわかった上で、今すでにその分を使っているドイツのクラブがいくつかあるような気もします。
ザネの後任者と守備的ミッドフィールダーをさらに獲得したいということですが。今のシャルケには莫大な金があることが他クラブに知られているな、と交渉時に感じることはありますか?
ハイデル:(ためらいつつ)ええ、影響はあります。でもどちらかというと誰を売り込まれるかという部分でそれを感じます。いるんですよ、某選手について「たった2000万ユーロですよ」と言ってくる代理人が。そういう選手は以前ならうちに売り込まれることはまずなかったはずです、2000万ユーロなんてどうせあそこは出せやしないと誰もが言って。実際私はどの話し合いでも最初に代理人に言っているんです、この件はとりあえず忘れてほしいと。我々は無意味に投資するつもりはありません。お金があるときに特に慎重に使えというのはもちろん難しいものです。相場が変わっているのはわかっています。ある程度のレベルの選手を5、600万ユーロよりも安く手に入れられることは今やほとんどありませんからね。
移籍の流れについて
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移籍に関して事前に話をするメンバーは?
ハイデル:事前の話し合いでは、まず監督、それとスポーツディレクターのアクセル・シュスターだけです。それから監督がコーチにだったり選手の調査を行うアナリストに話をすることもありえます。少し具体化して数字の話が出てくると、契約業務を担当しているアルンド・ホーフェマンの出番です。そしてもちろんペーター・ペータースとアレックス・ヨブストも。選手の獲得に動こうという段階になったら、クレメンス・テンニエスにも電話をします。我々のやっていることを知っているという気持ちでいてほしいからです。それ以外に知っている者はいないということになります。このメンバーの口の堅さは100%信用しています。
移籍は極秘任務なのでしょうか?
ハイデル:取り決めたにもかかわらず、選手だったり代理人が何かしら外部に漏らしていると気付いたら、通常その話は終了です。世間のプレッシャーを感じながらの話し合いは私はしないというだけのことで、選手と代理人も本当に移籍に関心があるならそれを守るものです。
トレーニングキャンプは月曜日に終了します。今ここでシーズン目標について質問をすれば、おそらく打倒バイエルンとは答えないのでは?
ハイデル:ええ、ナンセンスですね。それを目標に掲げるクラブはないでしょう。対戦するときに降伏するという意味ではありませんよ。現在のバイエルン・ミュンヘンがほとんどゼロなくらいミスがわずかであることは認めざるを得ないし、それを貫かれてしまうと、どのクラブにとっても近付くのは難しくなります。
では何をシャルケの目標として考えていますか?
ハイデル:持続的に成功を収める道を行く、これを最も高い目標とすべきです。私はシーズン毎にものを考えているのではありません。あってはならないのは、とある選手を獲得し、1シーズンしか戦力にならず、また手放してほっとするなどという例です。すべてを持続的な上位圏定着に向けて合わせていく必要があります。
チャンピオンズリーグは魅力的なのでは?
ハイデル:シャルケ04には持続的に国際的な舞台でプレーするという欲がなければいけません。もちろん今大事なのは良いシーズンにすることです。しかし決まった順位や勝ち点をキープするのは非常に難しいものです。昨シーズン、どれほど少ない勝ち点でシャルケが5位になったのかはご存知でしょう。
Manfred Hendriock
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