2015/01/08

ARD SPORTSCHAUのトーマス・クロートインタビュー

トーマス・クロート インタビュー
選手エージェント - 「日本人はブンデスリーガに合っている」
http://www.sportschau.de/fussball/international/interview-thomas-kroth-asien-cup100.html


アジアカップに出場する日本代表メンバーにはブンデスリーガの選手が6人いる。極東出身選手のエキスパートといえばトーマス・クロートだ。なぜ日本人がこれほどブンデスリーガに合うのか。元プロ選手の彼が語る。

選手の代理人を務めるクロートさんは、ドイツサッカー界ではまさにアジアのエキスパートで通っています。金曜日(2015年1月9日)にアジア最高峰のナショナルサッカーチームによる選手権大会、アジアカップがオーストラリアで始まりますが、優勝候補はどこだと思いますか

トーマス・クロート:日本とオーストラリアですね。日本は現在アジア最高のチームだと言われています。2005年からアジアサッカー連盟に加盟しているオーストラリアは、開催国であることがプラスに働くでしょう。

クロートさんはアジアのスペシャリスト。これまでに香川や長谷部、乾や内田といった選手をブンデスリーガに連れてきました。アジアカップは現地で?

クロート:いえ、日本代表にいる選手についてはもう生で見る必要はありません。彼らのことは知っているので。それよりもずっと興味があるのは、日本のクラブの試合だったりユース代表の国際試合です。ほぼ6週間ごとに日本へ行っていますが、そのときはいつも試合も観るようにしています。まだそれほど知られていない才能を見つけ出せますから。

2010年にボルシア・ドルトムントに斡旋した香川真司が大当たり。センセーショナルな移籍を成功させました。これがアジア市場へのチケットになったのでしょうか

クロート:日本との関係が始まったのはもっとずっと前です。初めて日本に関わったのは、1978年から1981年に1.FCケルンで一緒にプレーしていた奥寺康彦がきっかけでした。1993年に奥寺はピエール・リトバルスキーに日本のジェフユナイテッド市原・千葉を勧めていました。奥寺自身は当時、日本の1部リーグのクラブでゼネラルマネージャーをしていて。それで私が直接日本にコンタクトを取ったのです。リトバルスキーの引退試合では私も現地にいましたよ。次の展開が始まったのはそこからです。ミヒャエル・ルンメニゲやラインハルト・シュトゥンプ、ネディエリコ・ゼリッチといった選手を日本に移籍させました。そして2003年にハンブルガーSVで契約にサインした高原直泰。私の勧めで日本からブンデスリーガに来た最初の選手です。これが私にとっては扉を開く鍵のようなものになりました。

写真キャプション:彼からすべてが始まった――高原直泰

当時すでに選手代理人として約10年のキャリアを積んでいました。アジア市場において変えなければいけない点はありましたか。仕事のやり方に違いは

クロート:そうですね、まず日本ではブンデスリーガがあまり知られていませんでした。有名なのはイングランドのプレミアリーグで、その次がスペイン、イタリア。選手と話をする際には、まずDVDでブンデスリーガの試合を見てもらわなければいけませんでした。そうして年が経つにつれて、日本人のメンタリティというもの、それは交渉においてもそうなんですが、その価値に気付きました。我々のところと比べて何でも少し時間はかかるのですが、極めて確実にあらゆる事が運ぶ。日本人は徹底しているし信頼できるのです。

あちらではどのように選手エージェントとして名を得ることができたのでしょう。選手やクラブの幹部、ディレクターとのコネクションはどう構築したのですか

クロート:現地のサポートもありましたが、自ら出張することも多かったです。多方面にコネクションを作り、そこから長年にわたる密なネットワークが生まれました。ディレクターやクラブの幹部だけでなく、広告代理店やメディアともタッグを組んで。例えば、有料テレビ放送局のWOWOWにはエキスパートとしてよく参加していましたし、様々なサッカー雑誌にコラムを書いたりもしました。

現在あなたのアジアビジネスに関わっているスタッフの数は

クロート:日本にはダイゾー・ミカドという一番大事な腹心のパートナーがいます。それ以外に半ダースぐらいの人数からなるネットワークがあり、緊密かつ全幅の信頼を置いて仕事をしています。

ドイツブンデスリーガ1部と2部に斡旋してきた日本人の数は1ダースを超えます。全ての日本人有望サッカー選手にとって、ドイツは憧れの舞台になったのでしょうか

クロート:それは現在もこれからもイングランドです。しかし日本人選手がブンデスリーガでうまくやっている状況はもちろん注目を集めています。高原が2003年に来たときは、一人ぼっちも同然で大変だったと思います。今では選手の数も増え、選手同士で連絡を取り合い、情報交換し、顔を合わせています。それに我々がクラブと協力して、しっかり面倒をみています。生活のあらゆるシチュエーションでサポートしているので、選手たちはここでうまくいくのです。そういう評判ももちろん業界に広まっています。

日本人選手にとってドイツサッカーは特に相性がいいということもあるのでは

クロート:ええ、そうです。敏捷性、スピード、そして技術的な面で非常によく育成されています。日本のプロリーグ、Jリーグが1993年に始まって以来、日本のサッカー育成は大きく動きました。プロチームはユースのサッカースクールを創設しており、高校と大学では徹底的に鍛え上げられる。パスプレーに戦術理解――全てがすでに非常に高いレベルにあります。それに加えて、日本人はドイツ人にメンタリティという点で似ていると私は思います。非常に信頼できる。それがここに合っているのです。


インタビュー: Olaf Jansen



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