2014/08/23

Die Weltのヘーヴェデスインタビュー

ヘーヴェデス - 「ハゲているのはいい気分ではない」
http://www.welt.de/sport/fussball/bundesliga/fc-schalke-04/article131496939/Hoewedes-Ich-fuehle-mich-mit-Glatze-nicht-wohl.html


ベネディクト・ヘーヴェデスがW杯で最も感動的な瞬間を味わったのは決勝の舞台だった。インタビューではFCシャルケ04での目標、そして植毛後に得られた自信について語った。

Lars Gartenschläger

写真キャプション:ベネディクト・ヘーヴェデスはユース時代からFCシャルケでプレー。ゲルゼンキルヒェンのチームでこれまでリーグ戦166試合に出場、8ゴールを決めている
写真:pa/Sport Moments/Rehbein


彼の躍進はW杯最大のサプライズの一つだった。サッカードイツ代表チームがブラジルでタイトルを獲りに行くにあたって、あの活躍を計算に入れていた人はおそらくいなかっただろう。しかしベネディクト・ヘーヴェデスは、大会の最後にはマヌエル・ノイアーと同じく全試合にフル出場した唯一の選手としてピッチに立っていた。それも、センターバックの選手にとっては慣れないポジション――4バックの左で。FCシャルケ04所属の26歳は、常に満点で仕事を果たしたわけではなかったものの、最後には全批評家の言っていたことはでたらめだったと証明してみせた。ワールドチャンピオンは自信を持って新たなシーズンを迎える。

Die Welt:ヘーヴェデスさん、シャルケはDFBポカール1回戦でディナモ・ドレスデンに敗れました。良いスタートだとは言えないのでは

ベネディクト・ヘーヴェデス:ええ、3部リーグのチームに負けて大会を去るというのは、うまくいかなかったということ。でもリーグ戦では軌道修正していきます。僕らの目標はチャンピオンズリーグの出場権。順位争いは厳しいので、ハノーファーの開幕戦では変わったところを見せないといけません。

Die Welt:ドレスデン戦を欠場しましたね。キャプテンでありワールドチャンピオンでもあるあなたには期待がかかるのでは

ヘーヴェデス:W杯が終わって、高いモチベーションで新しいシーズンに向かっているし、チームの安定のために何でもするつもりです。でも総合的に問われるのはチーム全体であって、ピッチに立つ11人がうまく機能しないと。

Die Welt:ワールドチャンピオンの気分は

ヘーヴェデス:信じられないようなすばらしい気分です。おめでとう、すばらしい夏をありがとうと、この数週間たくさんの人に言われました。ブラジルでは本当に特別なことを成し遂げたんだなと。

Die Welt:W杯ではどの場面が特に記憶に残っていますか

ヘーヴェデス:決勝戦ですね。マリオ(・ゲッツェ:編集部より)のゴールは救いのようなものでした。彼が決めてすぐ涙があふれてきたぐらい、すごくうれしくて。あれでW杯のタイトルにぐっと近付いたわけです。一気にプレッシャーから解放されて、アドレナリンが大量に噴き出して――想像を絶する瞬間でした。一生忘れないと思います。

Die Welt:優勝後、多くの選手がキャンプ地カンポ・バイアで活力が生まれたと話していました。ご自身ではどうお感じになりましたか

ヘーヴェデス:あの宿舎は格別でした。様々なコテージに住んで、かつ各自スペースを持てたのが良かったと思います。各コテージにリビングルームがあって、それぞれ独自のものが備え付けられていました。ビリヤード台だったりプレイステーションだったり。そのおかげでお互い行き来がありました。でも、一番大きな役割を果たしていたのは食堂だったのではないかと。ほとんどの人とはそこで顔を合わせていました。一人で落ち着ける場があるというのも大きかったです。

Die Welt:ブンデスリーガの日常ではライバルの、ミュンヘン、ドルトムント、シャルケのメンバーが仲良くやっていたほど、雰囲気は良かったように見受けられましたが

ヘーヴェデス:そうですね。各自が自分の気分と好みを優先しないようにしていて。自分勝手な人はいなかった。みんな代表チームと共通の目標のことだけを考えていました。これが成功の決定的な鍵になったと思います。

Die Welt:ケヴィン・グロスクロイツとバスティアン・シュヴァインシュタイガーに友情が芽生えたのはその象徴でしょうか

ヘーヴェデス:そう言っていいんじゃないですか。うまく続いていくかはこれからの話ですけどね。でも、普段はライバルの二選手が急にあれだけ仲良くなるというのは、凄まじい説得力があると思います。彼らはそれを実現した。いいことだと思います。

Die Welt:タイトル獲得で周りの反応も変わりましたか

ヘーヴェデス:もちろん。すごく敬意を払ってもらっているように感じます。ドイツのタイトル獲得に自分も大きな貢献をしたんだなと。全試合に出て、それも慣れないポジションでプレーして。そこが認められたと感じています。自分への期待値もまた高くなっている。僕自身満足してしまってもいないし、今もハングリーです。

Die Welt:ご友人の反応はいかがですか。うやうやしくなったりとかは

ヘーヴェデス:それはないです。喜んでくれています。関係は何も変わっていません。共に過ごしてきたことが僕らを結び付けているので。W杯のタイトルで変わるものは何もないです。

Die Welt:あなたはマヌエル・ノイアーと同様に全試合フル出場でピッチに立ちました。一方で、最も批判にさらされた選手の一人でもありました

ヘーヴェデス:僕の境遇はチーム全体のそれと同じようなものでした。常に上がっては下がって。僕は代表監督の意見に意識を集中させるようにしていました。監督の意見が自分にとっては大きかったです。監督は僕のパフォーマンスに常に満足してくれていましたし。もちろん振り返れば100%の満足がいつもできるわけじゃない。でも、まったく慣れないポジションでのプレーだという点を考慮することもなく批判されるというのは、残念だなと思っていました。

Die Welt:フェリックス・マガトやアンドレアス・ブレーメのような批評家たちから謝罪の言葉などはありましたか

ヘーヴェデス:いえ。その必要もないです。言い分は人それぞれ。僕も根に持っていませんし。タイトルホルダーの自分にはその理由がちゃんとある。やってきたことはあまり間違っていなかったと思っています。間違いどころか正解がとても多かったんだと。

Die Welt:W杯に向けた準備期間のスタートは、あなたにとっては決して最高とは言えないものでした。その前までは長期負傷。そして南チロルの合宿ではコマーシャルイベントで事故が発生。休暇中の旅行者をはね、けがをさせた車に同乗していました

ヘーヴェデス:調子が出てくるまで時間はかかりましたが、常に一生懸命やって、代表監督に頼れると思ってもらえるようにしました。このW杯でプレーすることは、人生の大きな夢だったんです。そのために全力を尽くしました。それがヨアヒム・レーヴの目に留まった。僕を左でプレーさせるのは彼のプランでした。監督から初めてその話があったのはカメルーンとのテストマッチの前で。最終的にはそれがうまくはまりました。監督がこれほど大きな信頼を寄せてくれたことに感謝しています。

Die Welt:事故については

ヘーヴェデス:あれはとても不幸な結果になってしまった出来事でした。関係者、重傷を負った方を本当に気の毒に思います。同乗していた僕はあのとき何も阻止できなかった。事故後の応急処置はしましたが。事故のことはもちろん心に引っかかっていましたが、メディアで言われていたような、夜眠れないということはなかったです。心理士のところに何時間もいたということもありませんでした。そういうサポートは用意してもらいましたが、僕は自分で正面から向き合って消化しました。

Die Welt:このようなW杯優勝の後には欲が生まれるもの。ヘヴェデスさんの未来図はどうなっているのですか

ヘーヴェデス:僕に興味を持ってくれているクラブがいくつかあるようだというのは、言われている通りです。W杯で優勝すれば当たり前のことなのかもしれません。僕にはシャルケの居心地がとても良くて――それも13年前から。クラブにはすごく恩義を感じています。それでも、いつか海外に移籍する考えもあることは前から言ってきました。新しい経験を積んで、新しい文化や言葉に触れてみたいんです。いつが潮時なのかは言えません。でも人生の中で叶えたいと思っています。

Die Welt:この夏はいろいろな意味で注目を集めました。特に植毛に関しても

ヘーヴェデス:わりと短期間に髪がすごくたくさん抜けてしまったのが悩みでした。まだ26歳だし、自分はハゲがすごく似合うタイプではないと思うんです。人を見ていいなと思うことはあるけど、自分の場合は気分が良くなくて。気になっていたので植毛することにしました。手段が存在するならそういうことをするのに僕は大賛成だし、恥ずかしいことだとも思いません。それでまたいい気分で道を歩けるようになるなら、なおさらです。




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